治療の実際 7、外注


7、外注 編  大切なパートナーです


 当医院では、かぶせものや入れ歯は外注して作ってもらっています。

 かぶせものや入れ歯はほとんど手作業で作るため、出来上がりは、作る技工士さんの能力で大きく左右されます。技術はもちろん、どういう方針で作るか、どういう姿勢で作るか、提供する情報の量や質によっても出来上がりに違いが出ます。

 

 わたくしは、仕事を依頼する場合には、どんな仕事場でどんな仕事をしているかを見に行くことにしています。そして、実際に作っている技工士さん本人に一度は会うことにしています。現場を見、作る人に会うことで、言葉だけでは分からないものが分かります。現在は内容に応じて横浜と札幌の技工士さんに仕事を振り分けています。もちろん横浜にも札幌にも見に行きました。

 開業からしばらくは外注先が何か所か変わりましたが、現在お願いしている方とは15年ほどのお付き合いです。当然ではありますが技工士として、私の元技工士としての知識や技術よりずっと上を行く人たちです。

 技工士さんは、かぶせものや入れ歯などのそれぞれの分野の専門家です。こちらからは治療上の一般的なことや患者さんの情報を提供し、技工士さんからはそれぞれの分野の専門知識、新しい情報、作業上の工夫や問題点などを教えてもらっています。

 しかしそれでも、それぞれの皆様の個別のご要望に応えるためには試行錯誤や創意工夫が必要で、『いままでそんなもの作ったことがない』というようなものも、技工士さんと相談しながら作っています。もっとも、世界に2人といない人のために作るのですから、「前例がない」ものを作るというのは、考えてみれば当たり前の事なのですが。

 

 前歯は、形や色でずいぶんと顔の表情や印象が変わります。

 『おまかせします』ということもありますが、私どものセンスと患者さんの期待が一致しないこともありますので気をつけています。

 特に、前歯を同時に何本か作る時は、形や色のバリエーションが広くとれます。出過ぎてもみっともないし、引っ込みすぎても不自然です。幅、長さ、形、歯同志の形と色のバランス、くちびるとのバランス、顔とのバランス、ご要望はみなさんそれぞれ違います。

 言葉のやりとりだけでは形を決められませんので、かぶせものの場合には仮歯を作って実際に使っていただきながら形を決めていきます。

 長過ぎると下くちびるに当って気になる、または人によってはくちびるが傷ついて切れてしまう方もいらっしゃいます。短すぎると貧相。しゃべりにくい、食べにくい、などなどもあり、見た目だけでは決まりませんので実際に使ってみていただいて結論を出していきます。希望される歯の形によってはそれに合わせて歯の削り方を変える場合もあります。

 形が決まると仮歯が入っている状態の型と写真(歯の写真、くちびるとの関係、微笑んだ時の見え方、普通にしている時の見え方、お顔とのバランスなど)を撮って、本物を作る時の参考にします。合わせて、結果としての形だけではなく、そこに至った理由と経過を技工士さんに伝えていきます。

 

 打ち合わせは、普通は、電話やFAX、Eメール(添付書類として作業途中の画像データなどもあります)のやりとりで行います。

 時には技工士さんに患者さんと直に会ってお話して欲しい時があります。頻繁ではありませんがそういう時は横浜からでも札幌からでも出てきて立ち会ってもらっています。また技工士さんの方から是非立ち会いたいと申し出るということもあります。

 直に会っていただくことで、また新しい発想や解決策が出てきたりします。

 

 なるべく多くのことを皆様と私共と技工士さんが共有することで、より良いものができあがっていきます。

 

『こういうの作れませんかね』

『いやあ、それはこういう作業工程で作って作業途中でこういうことがあるので、見た目以上に狂いが大きいですよ。虫歯になりやすいですよ。あまりお勧めではありませんね。それだったらこっちのほうがいいですよ。今度資料送ります。』

 

『こういう入れ歯作れませんかね』

『大丈夫できますよ。でも、この歯とこの歯は前もってこうしておいてください。それと途中でこういう作業もするので模型を作る石膏はこれを使って下さい。』

 

 などなど、毎日のようにやり取りを行っています。

 技工士さんたちは、当医院の医療を支えている大切なパートナーです。